妻はだだっ広い 6人部屋でたった一人、ぽつんと寂しそうにしている
珍しく朝ご飯も食べられなかったらしく、しょんぼり気味だ
それでも少し前にお腹をすかせ、パンを買って食べたのだから食欲がない訳ではないらしい。
(共に闘う夫の携帯電話)
妻が子宮体癌を発症し、夫が扁平上皮癌を発症してしまった夫婦の闘いの日々
午前中、妻から e-mail が届き、食欲がないからサンドイッチなど軽めのものが食べたいと書いてあった。
これは一大事!強い副作用が始まったのか!?
慌てて買い物をして病室に行くと、思いのほか元気そうでニコニコしながらベッドに腰かけている
昼になると大きなサンドイッチのほかに、もう一種類のパンまでたいらげてしまった
・・・どうやら食欲不振は気のせいだったらしい。
多少は体がだるかったりフラフラするような感じはあるようだが、その程度であれば喜ぶべき軽さだ。
このままで明日も推移するようであれば、今後の治療も大きなストレスを感じることなく進められるだろう
(共に闘う夫の携帯電話)
・・・。
肩の力が抜けた。
先ほどとは違う意味で妻の涙が止まらない。
今は 2008年、ネットで調べることができた 5年生存率は 1996年のものなので 10年以上も前のデータだ。
あくまでも冷静かつ穏やかに医師が手書きで図を書きながら説明しくれた。
妻も書いている確率は医師の説明によると完治率ということだ。
I期 完治率 98% II期 完治率 85% III期 完治率 80% IV期 ?(説明受けず) □□□ 追記 □□□
その後、グレードが関係していることが判明。
完治率 5年生存率じゃないのか
妻のステージ(病期)は IIIc、完治率は 80%ということになる。
残りの 20%が何かと言えば、今後 5年間で転移したり再発したりする確率なのだそうだ。
たとえ転移や再発をしてしまう 20%に含まれてしまったとしても、抗がん剤治療、放射線治療、摘出手術などの治療を続ければ良いと言う。
結論を急ぐと、現代医学の技術をもってすれば子宮体がんで死に至るケースは極めて少ないのだそうだ。
聞かされたのは以前のような 5年生存率、一般に言われる 5年間は生きていられる確率ではなく、癌が治る確率だ
希望と力が体内の奥底から湧き上がって来るのを実感できる
(共に闘う夫の携帯電話)
病理検査の結果 IIIc期と診断される。
IIIc ・・・・・。
以前にネットで調べたステージ別の生存率だと IIIcは古い情報で 30%、新しいものでも 54.3%・・・。
そんなに進行していたのかと目の前が暗くなり、横で涙を流す妻にかける言葉も見つからない。
「だったらどうして Ib なんて言ったんだ!」
確かに主観的とは聞いていたが、医者から楽観論を聞かされたら患者としては喜び、その意見に希望を託してしまう。
8月18日に聞かされた主観的ステージを思い出して腹立たしさすら覚える。
担当しくれている看護師さんが泣きじゃくる妻にティッシュを渡しながら
「大丈夫!治るよっ!」
と声をかける
私も (これは覚悟が必要なのかもしれない) と思いつつ医師の話を聞いていたのだが、どうも様子が違う
そ、そんなに悲観したり悲しんだりする必要はないのか
(共に闘う夫の携帯電話)