啄木っぽく詠んでみる

新年ですし、今週は皇居で歌会始も行われることですから、私も石川啄木っぽい短歌で2023年の入院生活をふり返ってみました。

 その1 

《 啄木 》
たはむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず

《 解説 》
ふざけて母を背負ってみたが、そのあまりの軽さに涙がこぼれて、3歩も歩けなかった

《 私 》
リハビリで 起きて立つも そのあまり 重さに負けて 十歩あゆまず

《 解説 》
リハビリでベッドから起きて立ち上がってみたものの、あまりにも体が重く感じて10歩くらいしか歩くことができなかった

《 背景 》
ICUから一般病棟に移り、順調に思えた歩行訓練だったが、ある日を境に歩行が困難となり、10歩も歩けば心拍数が200を超え、血圧も150近くにまで跳ね上がるようになってしまい、退院しても朝の散歩などできるのだろうかと不安に感じていた時のことを思い出して

 その2 

《 啄木 》
東海の 小島の磯の 白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる

《 解説 》
東海に浮かぶ小島の浜辺の白い砂浜で、私は悲しみに包まれつつ蟹(カニ)と遊んでいる

《 私 》
六階の 個室のベッドの 白壁に われたそがれて カニエ・ウエスト

《 解説 》
病院の6階にある個室のベッドの上で、私は白い壁を放心状態でながめながら、カニエ・ウエストの曲を聴いている

《 背景 》
退院目前となっていた2023年12月22日、院内でインフルエンザに感染してしまい、個室での行動制限を余儀なくされてしまったので、呆然としながらSpotifyで洋楽を聴いていたときのことを思い出して

 その3 

《 啄木 》
はたらけど はたらけど 猶わがくらし 楽にならざり ぢつと手を見る

《 解説 》
働いても働いても暮らしはちっともよくなっていかないので、嘆かわしい気持ちでじっと自分の手を見つめている

《 私 》
飲み込めど 飲み込めど なおわが食事 楽にならざり ぢっとテトリス

《 解説 》
嚥下訓練で、いくら飲み込む練習をしても食事の際の痛みが減らないので、現実逃避のためにテトリスなんかしてみる

《 背景 》
嚥下訓練に励んでいた頃、その成果は一進一退で、昨日まで飲めていたものが今日は口の中の傷が痛くて飲み込めないということが多々あり、本当にまともな食事をすることができる日が来るのだろうかという不安に襲われていたころのことを思い出して

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