母の暮らす施設には、何かのときのために現金を預けています。
残金がなくなってくると連絡があり、また現金を預けるというシステムなんですけど、その際には何にいくら使ったのかの明細と領収書をくれるんですよね。
先日、その受け渡しをしてきたんですけど
明細の中に、どこからどう見ても通販会社らしき名前がありまして
そして、その会社で売られているのは美肌がどうしたとか、潤い成分があーだとかいうやつです。
高価な化粧品の購入を阻止したと思ったのですが
どうやら母上はコッソリとご購入なさったようでございます
妻が子宮体癌を発症し、夫が扁平上皮癌を発症してしまった夫婦の闘いの日々
少し前、母の冷蔵庫を補充していると、見たこともない缶入り野菜ジュースが入っておりまして
妻が
「これ買ったんですか 」
と尋ねると、
「うん、通販で買ったの 」
と元気に母は返事をします。
その時は、
「ははは、通販で買ったのか、そうなのか」
と、私も苦虫を 73匹ほど噛み潰しながら笑っておきましたけど
自宅に帰ってから調べてみると、1缶 2-300円はする代物っぽいんですよね、これが。
部屋にあったダンボール箱には 30缶入りと書いてあったようなので、どうやら 1万円くらいの買い物をしたようです。
今さら、そんな高級なジュースを飲んで健康になってどうするんだか。
いったい何歳まで生きるつもりなんでしょ
そのくせ風邪なんかひいたりしてるんですから、世話がないですよね、ホント
以前、80歳を過ぎてハリもコシもなくなったパサパサの髪のくせに、高価なドライヤーを通販で購入した母ですが
今月の初め、
「使っている化粧水がなくなったから通販で買おうと思って」
と見せてくれたメモには 7,000円もするセットが毎月届けられるという恐ろしい記述がありまして
あんなシワシワの顔なんか数百円の化粧品でもバシャバシャ使っておけばイイんですよ、まったく
今さら高価な化粧品を使ったところでシワなんか消えやしませんって。
なんだかんだと言いくるめて通販に注文するのは阻止しましたけどね。
いったい、おしゃれ番長はどこまで暴走するんでしょ
以前にも書いた通り、妻は眉毛の手入れはおろか、眉墨を引いたことすらないのだそうです。
抗がん剤治療が始まった時、眉毛が抜け落ちた場合にどうやって描いたら良いものやら見当もつかないと大慌ていたしまして
何か妙案はないものかと二人で腕組みしながら
「う~む」
と無い知恵を無理矢理しぼり出したところ、
「テンプレートを作っておけば良い」
という結論に落ち着きました。
会社で書類などをまとめておくクリアファイルを用意し、
それをほど良き大きさにカットして鼻のくぼみをつけ、妻の顔面に押し当ててマジックで眉毛の形をなぞり、その部分をカッターでくり抜けば完成です
眉を描く必要があれば、そのテンプレートをペタッと顔に当てて穴の部分をグリグリと塗ってやれば良いのではないかと
まるで博多仁和加(はかたにわか)の面のようですけど
実際に作ってみましたが、その間抜けなアイテムは使われることなく、無事に治療が終わりました
今日は三カ月に一度の通院でした。
私の持病は発作性心房細動ですが、実は担当医も最近になって少し心臓の調子が良くないみたいでして。
循環器科の担当医が転勤になるのをきっかけに、どうせ薬の処方だけだからと内科に引き継いでくれたので、今は 3カ月に一度の割で内科だけ通っているんですけど、ある日、その内科の担当医が不安気に聞いてきました。
「あれですよね、心臓ってちょっと止まったら分かりますよね 」
との問いに
「そうですね、私なんかしょっちゅう止まりますもん」
と答えると、顔がパッと明るくなり
「ですよね~ 」
と返してきます。
「なんか気持ち悪いですけど、すぐ動きますしね」
との問いに
「そうですよ、そのまま止まっちゃうことはないみたいですよ」
と答えると、
「ですよね~ 」
と妙に安心したリアクションが返ってきます。
そこで、
「どうしたんですか 」
と聞くと、
「いえ、私も最近になって不整脈がでるようになりまして 」
ですって。
やはりお医者さんでも専門外のことは分からなかったり、自分の身に何かが起こると不安になったりするものなんですね。
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
と、どっちが医者なんだか分からないセリフを言ったりしながら診察室を後にする私です。