髪の抜けるペースが早まり、鬼のような本数になっている。
抜け始めてからある程度の日が経つが、やはりゴッソリ抜けると悲しみも大きくなるらしい。
妻にかける言葉はいつもと同じ。
「それは薬が効いている証拠」
(共に闘う夫)

妻が子宮体癌を発症し、夫が扁平上皮癌を発症してしまった夫婦の闘いの日々

髪の抜けるペースが早まり、鬼のような本数になっている。
抜け始めてからある程度の日が経つが、やはりゴッソリ抜けると悲しみも大きくなるらしい。
妻にかける言葉はいつもと同じ。
「それは薬が効いている証拠」
(共に闘う夫)
妻の頭髪の脱毛は続いている。
頭皮がヒリヒリ、チクチクと痛いらしい。
それは抗がん剤が活動しているからなのか、その結果で毛根がダメージを受けているからなのか。
(共に闘う夫)
入浴していた妻が目にいっぱいの涙をためて浴室から出てきた ![]()
とうとう頭髪の脱毛が始まってしまったのである ![]()
覚悟はできていたはずだ。
頭では分かっていたはずである。
覚悟はできていても、分かってはいても実際に髪が大量に抜け始めるとショックは大きいらしい。
髪に指を入れると尋常ではない本数の毛が絡みついて抜けてくる。
やはりショックだろう。
妻に声をかける際の台詞は決まっている。
「薬が効いている証拠」
だから悲しくても辛くても頑張るしかない ![]()
(共に闘う夫)
退院だ ![]()
いや、あまりにも突然ではあるが、退院することになった ![]()
周りの人の状況を見ていると、2-3日前に退院を告げられ、ワクワクしながらその日を待つのが通例である。
昨日まで三連休で担当医の回診もなく、退院の “た” の字も聞かされていなかった妻は、今日の回診で聞かされたとしても早くて明日、普通であれば週末だろうと予想していた。
ところがである ![]()
妻の顔を見た医師の 「お元気そうで」 という一言から始まり、あれよあれよと言う間に決定したらしい ![]()
ものすごく慌ただしいが、事務手続きやら宿泊施設の掃除やらを済ませて帰宅できるようにしなければならない。
(共に闘う夫の携帯電話)