感染してはいけないと、病室の移動を強いられました
ヘルパーさんたちの動きは見事で、あっという間、10分もしないうちに移動が完了。
今までは東病棟の北側でしたが南側に移ったので日当たりが良く、部屋の中はポカポカです
なんだったら退院する29日までここにいてイイですよ。
気楽ですし、妻とのビデオ通話で声を出せますから
でも騒ぎが収まったらまた大部屋に移されるんでしょうね。
だったら613号室の2番、元いた場所に戻してください
知らない部屋の知らない場所は嫌ですよ
妻が子宮体癌を発症し、夫が扁平上皮癌を発症してしまった夫婦の闘いの日々
深夜1時に目が覚め、トイレに行ってベッドに戻るもなかなか眠れず、これは久々に眠れない夜を過ごすのかと覚悟したところ、朝5時の採血で看護師さんに起こされました
いつの間にか眠っていたんですね。
それにしても隣のベッドの爺さんは、夜中に棚を開けてゴソゴソとしてみたりしてたかと思えば急にイビキをかいて寝たり、寝てたかと思えば急に起き上がってトイレに行き、戻ってきたかと思えば直後に寝息をたてていたりと、忙しいので気になって仕方ありません
そんなことを気にしつつも眠っていたんですね。
あの眠れなかった日々、こうして眠れる日は二度と来ないのではないかと、とても不安なまま過ごしました。
今は眠れるようになったことに心から感謝しています
今日からこんなメニューで嚥下訓練(食事を兼ねる)が続きます。
ただし、夜は牛乳は出ませんけど。
私は夜も飲んで構わないんですけど、1日2パックでカロリーが足りるのだそうです
ひとつ判明したのは、牛乳を飲む際の痛みが異なっていた件。
牛乳を飲んで痛みがゼロになったはずなのに痛みレベルが7に戻ったのは、単に牛乳が冷えているかどうかの違いだったんです
右頬の移植部分は冷たいものを口に含むとかなりしみるので、それの痛みだったわけですね。
今日は牛乳パックを暖房の上において温めて飲んでみましたが、やはり痛みレベルはゼロでした
イノラス300mLに牛乳180mL、おかゆにも相当量の水分が含まれていますし、食後に水で薬を飲みますからお腹はチャプチャプ状態になってしまいます。
でも、チャプチャプがなんですかっ
”本” 退院できるならそれくらいのこと、たいしたことないですよ。
これから一週間、痛かろうがチャプチャプだろうが頑張りますよ、私は
今日は主治医から悪い話と良い話を聞かされました。
まずは悪い話としては歯のかみ合わせが変になっている件で、これはこのままか、もっとズレる可能性があるとのこと
顔の右側のアゴなど大部分を切除したため筋肉も切断しており、移植した筋はまだ萎縮し続けていて力も弱く、左側のほうが筋力が強いためアゴが引っ張られて噛み合わせがズレてきているのだそうです。
ズレはここで止まるのか、まだ引っ張られて動くのかは分からないと言います
どんどん受け口になってアインシュタイン稲田のようになるのは嫌ですから、何とか止めてください
次に良い話ですが、な、な、なんと29日の退院が ”一時” ではなく ”本” になるかも知れません
今日から始まった経口摂取のみの栄養補給で問題なければ来年から外来で良いのではないかと主治医が言ってくれました
4日に戻ってこいと言われていたのが戻らなくて良い可能性が出てきたんですよ。
これから28日までの約2週間で経過観察、検討するとのことでした。
こんなサプライズってあるでしょうか
にくいよ、この、色男
嚥下訓練の理学療法士さんも後押ししてくれるようなので、”本” 退院できる可能性はかなり高まってきたんじゃないでしょうか
こんなに長く入院するつもりはありませんでしたよ、もちろん。
だって最初は検査入院っていうことでしたから。
その検査入院中に癌だとかって言われて本格的な入院生活になってしまい、それからも自分の意思とは裏腹に延々とベッドの上にいるわけです
7月の一時退院に続いて今月末にも一時的に退院しますけど、また戻って来いとか言うんですよ、主治医は。
当初、聞かされていたのは8月末に手術、その後2、3カ月で退院ってことだったので、早ければ10月、遅くても11月には退院できるってことですよね
それなのに年が明けたら戻ってこいとかぬかしやがるんですよ、主治医が
ああ、そうかい、そうきたかい。
帰ってきますよ、ええ、そう言うんなら仕方ないから戻ってきますよ
でも、すぐに本当の退院してやるんです。
今週から朝昼晩とも胃ろうからの栄養補給なし、経口摂取だけで必要カロリー、栄養価を満たす訓練が始まりますから、それをクリアすれば胃ろうの抜管の可能性が見えてきます
胃ろうを抜いて、ざまあみろっ退院の条件の二択のひとつをクリアしたぞと主治医と掛け合い、すぐにでも退院してやります。
もうこれ以上の入院生活は嫌ですからね
今日も雪が降り続き、外は真っ白なままです。
予報では1週間先まで雪が降り続くようなのでブラックではなくホワイトなクリスマスになるかも知れません。
ホワイトだ、クリスマスだと言っても私は病室のベッドの上
ここは妻と一緒に暮らす街とは違います。
あっちの天気はどうなのか、雪は積もっているのか、クリスマス当日はどうなのか。
やっぱり早く帰りたかったです
一時退院が6日間しか許されないなんて。
聖なる夜に二人バラバラだなんて。
結婚念日に一緒いられないなんて。
鬼〜 、畜生〜
、悪魔〜
この恨みは一生忘れませんからね
昨日から食事毎に出されていたメイバランスがイノラスに変わり、今日までの2日間は以下のメニューを摂取しています。
栄養剤 150mL
おかゆ 180g
イノラス 187.5mL
おかゆを食べる際の神経系の痛みレベルは昨日の朝の6から3に、イノラスを飲む際のレベルは8から7に下がって少しずつ楽になってきました
それは12日から飲んでいる鎮痛剤が効いてきているからなのか、痛みをこらえて訓練した成果なのかは不明ですが、楽に飲み込めるのは実に嬉しいことです
この調子なら細かく切った食材などが食べられる日も近いかも知れません。
これからも訓練に精進し、普通食が食べられるようになるまで頑張ります
隣の爺さん、色々な意味で面白いです
運動機能訓練の理学療法士さんが制止しているというのに、自分はいつもやっていると200回のクワットを見せつけておきながら、リハビリで病棟の廊下を一回りしただけで太ももが痛いとか言って歩くのを止めてしまいました。
爺さんに付いている学生さんにもスクワットを200回を1日に7セットやっていると自慢していましたが、実はヒザを軽く曲げてピョコピョコとした感じの動きなので効果は薄いものと思われます
その学生さんとはあまり会話が弾まないのですが、爺さんは何かを思いついたように茨城県に関するクイズを出すと言い出しました。
茨城県で有名な特産物を3つ挙げよというクイズでしたが知識に乏しい学生さんには答えられず、爺さんが
「じゃあ、教えるね、正解は 」
と言いましたが、そこで長い長い無言の時間がながれ、
「ん〜なんだったかなっ〜」
と、答えが一つもでてきません
聞いていた私はベッドから転げ落ちそうになりましたよ。
さらにその学生さんにマンガ『美味しんぼ』が実話だと教えて歓心を買っていましたが、美味しんぼは実話ではなく一部のエピソードに実在する飲食店、実在する人物が描かれているだけです。
それに加え、登場人物の海原雄山のモデルが芸術家で美食家だった北大路魯山人であることなどから、爺さんの頭の中では美味しんぼのすべてが実話だと思い込んでいるのかも知れません
あと、手が滑って私がなにかを床に落とすと、爺さんは自分が落としたと思ってベッドの下などを見て、
「ないなぁ」
「どこにいったんだろうなぁ」
と探し始めます
耳が遠いので
「違いますよ、私ですよ」
と言っても聞こえませんし、各ベッドを遮っているカーテンを開けてまで伝えることでもないので、爺さんが探すのを諦めるまで心の中で
「爺さん、ごめんね、俺なの」
と、心の中で謝罪しつつも
「オモロいなぁ」
などと、思ってしまっている私です。