髪にまつわる話し 三本目

髪にまつわる話し

ロン毛だった頃の話しの続きなんですけど

ある日、パチンコをしていると驚くほど出る台があったんですよ。

小一時間でドル箱(パチンコ玉を入れる大きなケース)が何個にもなりまして

この調子でいったら閉店までに十万円くらい儲かるのではないかと、ほくそ笑みながら打ち続けていてふと上を見上げると、そこには
『レディース(女性専用)台』
と書かれていました

これはマズいと、台を移動しようかどうか迷っているところにパチンコ屋の店員が近づいてきます。

そりゃあドキドキしましたし、オロオロもしましたよ

男だとバレたら店の事務所に連れ込まれ、何人もの店員に取り囲まれて袋叩きに合うんじゃないかとか、どこかの山奥に連れて行かれて埋められてしまうんじゃないかなどと、一瞬にして様々な恐ろしいシナリオが頭の中を駆け巡ります

近づいてきた店員が足を止め、
「出てますねぇ~」
と声をかけてきたときは万事休すと覚悟しましたが、最後の一手として裏声を使い、出せる限り甲高い声で
「ええっ」
と言いつつニッコリ微笑みかけました。

するとどうでしょう

店員は何事もなかったように遠ざかって行きました。

この時ばかりは、何人もの男にナンパされるほどの外見である自分に心から感謝しましたよ、ほんと

その後、そそくさと台を離れ、逃げるように店から出たのは言うまでもありません

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