髪にまつわる話し 六本目

髪にまつわる話し

急にロン毛時代の話しに戻りますが

祖母が亡くなった日、一人暮らしをしていた私は取る物も取りあえず葬儀場に駆けつけました。

しかし、ロン毛にセミアフロという出で立ちに激怒した母親から髪を何とかせよとの厳命を受け、葬儀場の近くにあった美容室でパーマを落としてもらうことに

しかし、髪は切らなかったので直毛になっただけで、まだ若いキューティクル満載のキラキラ、ツヤツヤな髪をした性別不詳の息子が葬儀場に戻ってきただけという結果になってしまったわけでして

怒りに満ち満ちた母が横目で睨みつけているのを無視して親族控室のすみに座っていると、次から次に親戚が集まってきます。

顔見知りのオジやオバが部屋に入ってくるのをにこやかに迎え入れているというのに、親戚一同すべてが私を無視したり、よそよそしい態度で頭を下げるのみだったりするんですよ

日頃の悪い行いが親戚の連絡網によって伝播し、全員が腹を立ててるのかと少し不安になっていましたが、何かの用事で母が私の名前を呼んだところ、ほぼすべての親戚が私の顔を見ながら
「ぇ゙ーーーーっ!!!」
という叫びとも悲鳴ともつかない声をあげました。

みんな、私のことを親戚のだれかの彼女か何かだと思っていたらしいんです

なのに誰からの紹介もなければ挨拶もないので、どう声をかけたら良いのか分からず困っていたのだとか。

身内にさえ女性だと思われたんですから、盛り場でナンパされても不思議じゃありませんね

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