父方の祖母の妹、私にとっての大叔母は港町でおでん屋を営んでおりました。
詳しいことは聞いていませんが、たぶん芸者あがりだったと思われる大叔母は、いつも和服を小粋に着こなし、どことなく凛とした雰囲気を漂わせている人で、常連客で賑わう店を一人で切り盛りしていたんです。
夫婦で店をやっていたものの、夫に先立たれてからは死ぬまで独身を通していました。
一人娘に子供がいなかったため、私のことを孫のように可愛がってくれたものです ![]()
遊びに行くと、一緒におでんの具の肉団子づくりをすることが多かったんですけど、最初は普通に手伝っているものの、そこは子供のことですから少しすると飽きてきて、丸い団子を作らずに星型にしてみたり、ひょうたん方、UFO型など、まるで粘土細工のようにして遊んだりしていました ![]()
それでも大叔母は叱ることなく、
「あら、上手にできたわね」
と、やさしく微笑みながら褒めてくれたのを覚えています。
私が遊んで作ったその肉団子は、いつもカウンターの隅で飲んでいる白髪のお年寄りに無償提供され、
「なんだ
これ
」
という男性に大叔母が
「いいから黙って食べなさいっ
」
と言い渡して涙目になりながらモソモソと食べる羽目になり、それでも微妙な笑顔で
「おいしいよ」
と言ってくれたりするものですから、私は遊び半分で作ったくせに自分で料理した気になって鼻の穴を膨らましつつ胸を張っていました ![]()
その大叔母が他界して長い年月が経ちますが、肉団子を見るたびに、うっすらと当時のことを思い出したりしている私です ![]()




