身の上ばなし ROM-3 ~育ての親たち その2~

身の上ばなし

保育園に通う頃から過ごしたオキザキさんの婆ちゃんはとても温和な人で、私が何をしても叱ったり怒ったりしませんでした。

ある日、イタズラが見つかって叱られるのを覚悟したのに何も言わないオキザキ婆ちゃんに
「どうしておこらないの
と聞いたことがありますが、婆ちゃんはニッコリ笑って
「しかられるようなことしたの
と、逆に聞き返してきます。

そう言われると子供心ながらに、自分はいけないことをしたのだという自覚が芽生えましたので、実に素晴らしい教育方針だったと言えるかも知れません。

それでも、まあ、子供のことですから、すぐに忘れて同じようなイタズラをしていたと思いますけどね

今にして思えば、オキザキ婆ちゃんがとても絵の上手な人で、幼い私のリクエストに応えて動物や虫など様々な絵を書いてくれたことがよくあったので、私も絵が好きになってコンピューター・グラフィックスの世界に身を投じることになったような気がします。

オキザキ爺ちゃんはとても寡黙な人で、笑ったり怒ったりした記憶もなければ、声を荒げるようなこともなかったはずです

どうやら潔癖症だったようで、自分の孫が口をつけた食べ物にも手を出さなかったらしいのですが、赤の他人であるはずの私が食べ残したものは口に入れていたとのことですから、毎日一緒に過ごしていて情が湧いたのでしょう。

オキザキ婆ちゃんは、そんな爺ちゃんを半分呆れながら笑って見ていました

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