私が電話に出るとマスターは
「良かったぁ~、連絡できなかったらどうしようかと思ったぁ~」
と声を震わせ、涙ながらに
「だって・・・ママの・・・ママのお客さんだったしぃ~」
と声をつまらせます
何度も何度も電話したのに、番号を押し間違えたのか
— おかけになった電話番号は現在使われておりません —
というアナウンスが流れ、眼の前が真っ暗になっていたのだそうです。
マスターは
「酔ってかけたのが悪かったのかなぁ」
などと言っておりましたが
確かマスターは下戸で、お客さんに酒を進められても一切口にすることはなかったはずです。
ママを亡くした悲しみからか、寂しさを紛らわすためなのか、呑めない酒を口にするようになったのでしょうか
だとすれば、酒に溺れ、依存してしまう前に店が再開できる目処が立って本当に良かったと思います