北海道新聞に、子宮体がんの手術に関する記事が載っていた。
「リンパ節広域切除が有効」(北海道新聞 2010年2月26日掲載分より転用)
子宮体癌の手術で周囲のリンパ節を広く切除すると生存率が向上するという、北大病院産婦人科の桜木範明教授と北海道がんセンターの藤堂幸治医師らの共同研究の成果が25日付英医学誌ランセットに掲載された。子宮体がんではリンパ節切除の有効性が国際的な議論となっているが、今回の研究成果で骨盤と大動脈周辺のリンパ節両方を切除することで、再発リクスが高い患者の5年生存率が10%以上延びたという。
1986~2004年に手術を受けた671人を対象に、リンパ節を骨盤だけ切除した場合と、骨盤に加え大動脈周辺のリンパも広く切除した場合とで治療成績を比べた。
その結果、再発リスクが中、高程度だった患者407人の5年生存率は、骨盤リンパ節だけの切除の72.6%に対し、骨盤と大静脈周辺の両方切除では83.2%に向上した。再発リスクが低い患者の生存率に差はなかった。
子宮体がんの手術は、国内では子宮全摘に加え卵巣・卵管とリンパ節を切除するのが一般的。だが昨年英国でリンパ節を切除しても生存率は向上しないとの研究結果が発表され、異論が出ていた。
子宮体がんは国内で年間約7千人が発症している。桜木教授は「今回の研究結果から再発リスクの高い患者は大動脈も含め広範囲にリンパ節を取ることで、骨盤内だけの切除に比べて年間420人が5年生存できる計算になる」と話している。