獣のような回復力を見せていた母ですが、やはり記憶力は完全には戻らないようです。
ある日、
「故郷でお世話になった近所の人達に何もしてこなかった。」
と急に言い始めて後悔していましたが、ちゃんと挨拶してきましたし、それとは別に 8月に退院した際には御見舞い返しを自分で配って歩いたんですよね
そのことを説明してもまったく記憶がないらしく、
「そうだっけ 」
と不思議そうにしています。
おしゃれ番長な母は、みんなの説得を押し切って、ついに念願のパーマをあてましたが、施設に戻って母の髪を見た職員さんや入居者の方が
「あら、髪がふわっとして、パーマしてきたの 」
という問いに、
「カットしてきただけだよ」
などと答えていたらしく・・・
妻が
「パーマをかけたんだよ、そのお金も払ったでしょ」
と言うと、ハッと気づいたらしく、
「うん、◯◯円だった」
と、その料金だけはハッキリと答えたりする母です。
毎日ドライフルーツのプルーンを食べているんですけど、そのプルーンとは何ぞやということも忘れてしまうこともあるんですよね、これが。
それでも、完全に忘れているのではなく、何かきっかけを与えると思い出すのでまだ救われますけど、あれほど記憶力に優れていた母だっただけに、少し寂しい気がします
もう歳も歳ですし、これが普通なのかもしれませんけどね。